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2012年3月16日 (金)

【小説】ふたつの願い1(それぞれの願いシリーズ)

願い事を一つ願うとしたらあなたなら何を願いますか?
これは小さくても大切な願い事をした捨て猫と独りが好きだったカラスの物語です。

   (1)
とある小さな町に流れる小さな川沿いに段ボール箱がポツンと置かれていた。
中には白黒茶にぶちに三毛と5匹の子猫。
そこ行く大人達はそんな子猫達を見て見ぬ振りで通り過ぎる。
子ども達も覗いて見るもののなかなか拾ってはくれない。
力を合わせて生き抜こうと箱の中で身体を寄せ合う5匹の子猫。
時々、パンや水を与えてくれる人間たち。
でも暖かい場所は与えてはくれなかった。

今は秋。
時折冷たい風も吹く季節。
5匹の子猫達は寄り添い暖を取る。
捨てられてから三日経ち四日経つ。
その頃になると心ある人間に拾われていく兄弟たちも出てきた。
最初に拾われたのはぶち。次に三毛とそれぞれ暖かい場所を見つけた兄弟達。

とうとう最後の一匹に。
残ったのは白。薄汚れて誰も見てくれない。
「にゃあ」と可愛く鳴いてみても暖かい場所にありつけない。
ある日カラスが子猫に声をかけてきた。
「よう。お前こんな所で何しているんだ?」
子猫の頭上をバタバタと飛び回る。子猫は初めて見たカラスに怯えた。
「けっ。情けない面しているなあ」そんな事を言いながらカラスは子猫の前で見せつけるように
持っていたパンを食べ始めた。
子猫は何も言わない。言えない。ただただカラスが自分に飽きてどこかへ行ってしまうまで静かに大人しく。
「くぅ。うまかった。しっかしつまんねえ奴だな、お前。口利けないの?」
そう言ってどこかへ行ってしまったカラス。
また独りぼっちになってしまった子猫。何か話せば良かったのだろうか。
お腹がすいたよ。寂しいよ。ただただ子猫は繰り返すしかなかった。
カラスが飛び去った後を見ると食い散らかされたパン屑があった。子猫はそれを食べて今日を何とか
生きながらえる。
 「にゃあぁぁ」
誰もいなくなった夕暮れ時。少し肌寒い。
どうして独りぼっちなの?僕はどうしたらいいの?夜は怖いよ。寒いし寂しいよ。
「にゃあにゃあにゃあ」
何時間も鳴き続けた白ネコはいつの間にか疲れて冷たい段ボール箱で眠る。
体を小さく丸めて眠る。そんな日がいつまで続くのか。


     (2)
カラスのオレは兄弟の中で一番の落ちこぼれだった。
生まれたのも5個の卵のうち最後だったし身体は小さく弱かった。
親の運んでくれる餌にもありつけないことも多々あった。
でもオレも他の兄弟に負けないよう必死に餌を貰ったさ。小さい身体は不利だ。
まあ、不利は不利なりに成長した。独り立ちも出来て万々歳だ。
独りは気楽。オレは独りが好きだ。

勝手気ままに過ごして2年が過ぎた頃、川沿いで段ボール箱の中で5匹の子猫が必死に身を寄せ合っているのを見つけた。
「あ~あ、捨てられたんだなあ。オレには関係ないけどねぇ」そうつぶやき段ボールのはるか上空をくるくる回ってそのままどこかへ行ってしまった。

数日後再び川沿いを飛んでいたカラス。段ボール箱を見つけて、そういえば子猫が
捨てられていたんだっけ、と近づいた。
箱の中には白ネコ一匹しか残っていなかった。
(うわっ、何だか弱々しいのが残っている。しかも汚いし)

「よう。お前何しているんだ?」気まぐれに声をかけたカラス。しかし返事は無い。
じっと見つめられて居心地が悪い。

(おいおい、そんな真っ直ぐな瞳で見るなよ。見透かされているようで落ちつかねえ)

「けっ、情けない面しているな」やっと声に出す事が出来た一言だった。
「ま、いっか。ここで腹ごしらえするか」ぶつぶつと独り言を言いながら持っていたパンを食べ始めた。

子猫の腹の虫がきゅるるぅと鳴った。

(こいつも腹すかしているのか。そんなに見つめられたらオレの体に穴が開きそう。食い辛い。
分かった、やるよ。半分やる)

「くぅ。うまかった。しっかしつまんねえ奴だな、お前。口利けないの?」
カラスは早々にここから飛び去ることにした。
「はあ。オレの飯・・・」
上空から子猫の様子を見ていたカラスは必死に自分の残したパンを食べる姿を見て何かしら放っておけないものを感じていた。

続く・・・

*******
すでに既読の方は一度でも読んで頂きうれしく思います。
ありがとうございます。

未読の方はよろしければ少しだけお付き合いくださいませ。

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コメント

既読だったので読み飛ばし「いいね」だけポチしました。(^o^)

clitonさん

ありがとうございます♪

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