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2012年3月30日 (金)

【詩】月見草と月の光と…

  『月見草』

やあ、今年も待っていてくれたんだね。

男はそう言って隣に座った。
正確には隣にある大きな岩の上に・・・。
男は夜空に光を放つ月を見上げこう言った。

君にぴったりの景色だ。

静寂ともいえるこんな日に男は現れた。
いつもこの時期になると先と同じ言葉を掛けながら
隣の岩に片膝を立てた状態で座る。

ただお互いがそこにある
同じ時間を過ごす
ただそれだけ

風で身体が揺れる。
もうすぐ本格的な夏が来る。

しばらくすると男が立ちあがる。
「来年また来るから」
そう一言告げて。

来年、そう繰り返し月を見上げる。
月の光が花を照らす
ただこの時だけを大切にして。

ふたたび風が花弁を揺らす。
ゆらゆらといつまでも揺れていた。



  『月 光』

一輪の花が咲いた。
誰に見られることも無いような場所で。
月の光を独り占めしていた。
毎年同じ場所に咲かせる花。
まるで誰かを待っているかのように。

ある日男が花に語りかける
月の光と花と男しかない世界。
時折花を揺らす風が吹くだけの世界。

都会の喧騒から逃れてきた男は花に語りかける。
来年もまた来るからと。
少しだけ花が揺れた気がした。
風のいたずらだったのかもしれない。

男が立ち去った後再び月の光を独り占めした花。
ただただ風に揺られ淡い光を浴びていた。



  『秘所地』

もう咲いただろうか。
偶然見つけた場所に咲いていた花は。
疲れた気持ちを癒してくれる大切な場所。
誰にも知られたくない。

あぁ、咲いている。
月の光を浴びて咲いている姿は静謐で
誰にも侵されたくない景色だ。

まるで自分を待っていてくれたかのようだ。
そんな都合の良い考えも許されるだろう。

花に語りかける。
待っていてくれてありがとう
そして来年もまた咲いてほしい事を。

花が待ってくれているのではない。
私が花を待ちわびているのだ。

月の光と花と風しかない世界。
私だけの秘密の場所。

*******
2年前に書いたものです。
ここに出てくる月見草は宵待草という黄色い花を初夏に咲かせているイメージです。
昼咲月見草というのもあってピンクの花を咲かせるものがありますが、何故かツキミソウというと黄色い花を咲かせる宵待草の方を言うようです。
宵待草というもの正式には待宵草というのが正しいそうです。
竹下夢二が『待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな 』が有名ですよねえ。

昼咲月見草は私が2年がかりで咲かせたものが庭に毎年花を咲かせてくれています。
というのはオーバーで種をまいてから2年後にひょっこり花を咲かせたんですけどねえ。
諦めていたのでうれしかったです。
今じゃ石の間からも花を咲かせるほど逞しいです。

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