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2012年9月 3日 (月)

【小説】怪談:消えた女性

 あれはまだ私自身が小学生のころ。
夏の暑い晴れた日でした。
休日だったか夏休み中だったのかお昼頃私は台所で洗い物をしていたのです。

前を向くと窓があり、窓の外は人が通れるくらいの向こうに高さ1mくらいのブロック塀があり手前に植木がブロックより50cmほど高く3本並んでいました。
その間から道路を行きかう人や自転車、車の往来を見ながら洗い物をするのが私のお手伝いの一つでした。

その日もいつものように時々外を見ながら洗い物を片づけていました。
まぶしいくらいの太陽と蝉の声が聞こえるような夏の昼間。
つまり天気は快晴。

ふと何気なく顔を上げ外を見るとショートカットの女性が道路を歩いているのが見えました。
その人は帽子も日傘も差しておらず、道の端っこぎりぎりを歩いていました。
1本目と2本目の木の間からその女性が歩いている姿を見て2本目と3本目と歩いていく姿が見えました。
そこを過ぎるとブロック塀しかないためはっきりと女性の姿が見える…はずでした。
でもそのまま通り過ぎると思われていた女性の姿が通らない。

通れば胸から上が見えるはずなのに一向に姿を見せない女性を不思議に思った私はそのまま勝手口から外へ出て確かめに走りました。

勝手口から確認するまでの距離なんてほんのわずか。
なのにそこには誰もいませんでした。

ただ道路がそこにあるだけ。
いつも通りの景色に何も変わったことはありませんでした。

あれだけはっきりと見えた女性はどこへいったのでしょうか。
来た道を帰ったのならその姿が見えるはずです。

よく考えてみると「音」が何もしなかったのです。
蝉は鳴いていました。
私が使っていた水道から出る水の音もしていました。
ただその女性に関する音が何もなかったのです。
「静」しか感じられなかったです。
でも通っている時は不思議な感じは何もなかったのです。

それ以来2度とその女性を見ることはありませんでした。

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コメント

パス

パスは3回まで…って誰??

怪談って付く時点でパスやわ

pooさん

怪談はストーリー性のあるものならあくまでも一つの物語ですし好きですねえ。
よくテレビでの心霊写真がどうとか心霊スポットが、、、っていうのはどこまで信憑性があるのか判断に迷うので信じないようにしてます。

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