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2012年10月25日 (木)

【小説】かくれんぼ

 季節は新緑が似合う時期を過ぎ、木々が赤や黄色と自己主張をし始めた頃のお話。
山のどこかで松の木母さんの声が聞こえた。
「さあ、坊やたち。これからかくれんぼを始めるよ!頭は絶対出しちゃだめ。頭を隠したい子は落ち葉を頭にかぶせときな。ほら足音がそこまで来ている。大人しくするんだよ」
カサカサと足音と共に今年も松茸を探しに人間がやってきた。
子ども達はわくわくと身を潜める。

毎年同じお爺さんが腰を曲げながら松茸を探しにやってくる。
本当に必要な分だけ捕っていく。そして松の木を見上げいつも声を掛けてくれるのだ。
「松の木よ、今年も豊作かい?お前の周りには毎年たくさんの松茸があるから助かるよ」
それに応えるように風が松の葉をザザーッと揺らす。
「どれ、この辺りかな」と一つ松茸を籠に入れる。「わあ、見つかっちゃったあ」楽しそうに籠の中で騒ぐ。子ども達が籠の中でぎゅうぎゅうと身動きできなくなる頃、お爺さんは痛む腰をトントンと叩き帰り支度をする。

「松の木よ、今年はこれだけ頂いて行くよ。また来年も頼むよ」そう言いながら松の木を軽くポンポンと叩き山を下りていく。
昔松の木はこのお爺さんに傷ついた枝を治療して貰った事があった。その翌年からこのお爺さんにだけ松茸を分けているのだ。可愛いわが子をこの人になら渡せると思いながら。
根元にいる虫達は「今年の秋もそろそろ終わりだね」などと冬支度に忙しい。
もうすぐ冬がやって来る。お爺さんが歩いた山肌には雪化粧。
一面真っ白になるだろう。季節は巡りやがて春になり眩しい日差しの夏を迎える。着々と時は過ぎまたかくれんぼの秋がやって来る。
きっとお爺さんはまた話しかけてくれるだろう。

「松の木よ、今年も豊作かい?」
「また来年も頼むよ」と。

はい、来年も再来年もあなたが来て話しかけてくれるならお待ちしています。子ども達とかくれんぼをしながら。
そう季節の風に乗せた。
********
2011年秋の作品です。
これも三題話から出来たものです。
お題は「マツタケ」「化粧」「虫」。

ちなみに一番最近の作品は
週刊ドリームライブラリの「それでも大好き」があります。

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コメント

今年まだマツタケにありつけてない・・・
でも外国物とか多くなりましたよね
びっくりするのは香りつけとかじゃなくても味がよくなってきていること
まったけ食いてぇ~
永谷園のお吸い物買って飲もうかな・・

pooさん

マツタケって今年は不作とか言われてませんでしたっけ?

永谷園のお吸い物ってお椀に香りがいつまで~~~も残っちゃうんですよねえ。
鍋で人数分作って最後に卵を流し込んで食べたりしてます。
年に1回くらいだけど(笑)。
これで炊き込みご飯を作ると美味しいらしい。

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